「優勝に近づいているのは間違いない」――シルバーコレクター・茨木司朗監督、惜敗と引き換えに手にした“進化の確信”

「優勝に近づいているのは間違いない」――シルバーコレクター・茨木司朗監督、惜敗と引き換えに手にした“進化の確信”

2026年3月22日、駒沢オリンピック公園総合運動場体育館で行われたJFA 第31回全日本フットサル選手権大会決勝「バルドラール浦安 vs ペスカドーラ町田」。延長戦までもつれ込んだ激戦は、PK方式で町田に軍配が上がった。

試合後、選手全員を送り出した浦安の茨木司朗監督が囲み取材に応じ、またしても届かなかった「あと一歩」や就任初年度の振り返り、優勝に向けた手応えを語った。

ーー新しい銀メダルがひとつ増えましたね。

もう、何なんですかね(笑)。結局、2-0まで行った後、セットプレーと後半の1失点。やっぱりあそこで押し返せない。2-0を3-0、4-0にできないことが、通年で出ている課題かな、と思っています。今シーズンの名古屋戦でも、昨日の準決勝以外は先制してひっくり返されています。先にどっちがスコアを動かすかなんて分かりませんが、今回も町田アスピランチにも横浜にも先にスコアを動かされている中で(勝利し)、試合は40分で行うものなので。手法はいろいろあると思うんですが、リードを広げられなかったところが課題ですね。

ーー起用を続けた柴山圭吾選手が、1ゴール1アシストの活躍でした。(同じピヴォである)本石選手が退団する中、「もっとやらなきゃいけない」「取ってやるぞ」という感じも受けました。

そうですね。彼は本当にリーグ終盤、ファイナルシーズン、選手権と、誰が見ても素晴らしいパフォーマンスをしていたと思います。彼が来年のチーム状況をどのタイミングで知ったかは分かりませんが、「来年も俺がやらなきゃいけないんだ」という覚悟や責任がプレーを変えさせたんじゃないかな、と思っています。そう考えると、選手一人ひとりがエンブレムをつけて、覚悟を持って日々のトレーニングに臨むことがどれだけ大事なのか、教え子なんですが、彼から教わりましたね。

ーー決勝後、選手全員が会場を後にするまで送り出したとのことですが、どんな声をかけましたか。

まずは一年間、ハードワークをしてくれた選手たちを労ったのと、出て行く選手、辞める選手たちに声をかけました。僕が今年ずっと選手たちに言い続けたことを、改めて整理して伝えたんですが、一年目で僕自身より選手たちは多分、すごく苦しい時間もあったと思います。でも、当然、小宮山前監督とは違うこともあるとは思いますが、僕には僕の信じるものがあるので、全員がブレずにそれを信じてやり続けてくれたからこそ、この終盤戦の巻き返し、大きな躍進を見せてくれたと思っています。通年で選手たちが続けてくれたからこの成績が出たと思っているので、一人ひとりにそんな言葉をかけました。

ーー就任初年度が今日で終わりました。Fリーグカップとリーグ戦、全日本、決して悪い成績ではなかったと思いますが、振り返ってみていかがですか。

そうですね。このチームを第三者目線で見たら、そんなに悪くないと思うんですよ。実際、カップ戦はファイナルまで進んで両方ともPK(で準優勝)。リーグ戦は4位だったんですが、「たられば」を言うつもりはないものの本石が怪我をしていなかったらおそらく変わっていたと思います。その辺りは1年目だから良しとしていいのか。とはいえ、過去にクラブが作ってきた歴史があって、リーグで優勝して名古屋と肩を並べていく立場にいられるチャンスでもありました。もしかしたら、またチャレンジャーという立場になってしまうかもしれないので、続けていく難しさを感じた1年でもありました。

ーー本石選手が退団することは、頭が痛くて仕方ないのではないでしょうか。

戦力的に痛いか、痛くないかで言えば、めちゃくちゃ痛いです(笑)。それは皆さんがおっしゃる通りなんですが、それは僕が監督になった宿命なのかな、神様がそうやってクラブに何かを示してくれたのかな、と思っています。というのは、僕はずっとユースカテゴリーの監督をやっていたので、毎年、毎年、スーパースターの3年生たちがいなくなるんですよ。そういった意味では、もしかしたら大黒柱が抜けても1年でチームを作り直すことに他の人よりも長けている部分、経験が多い部分があると思うので、これは自分にだからこそ降ってきたものなのかな、とも思って。運命だと思って受け入れて、ポジティブに捉えています。退団する選手の決断もいろいろあっての決断なので、当然尊重しています。1年目は(前監督からの)引き継ぎでの挑戦、2年目は本当に僕自身に対する挑戦がやってきたのかな、と思っています。

ーーより楽しみな来シーズンになるわけですね。いつ、シルバーコレクターを返上できるのか。

本当に何なんでしょうね(笑)。でも(これまでの決勝の)1回目は2点差で負けて、2回目は1点差で負けて、3回目もPKで負けて、今日もPKで負けて、なので、優勝は近づいてきていますよね。ただ、僕のひとつの目標に「選手に年間最大数の試合を確保する」といった至上命題がありました。やっぱり1試合多くできるかどうかって、選手のキャリアにとって練習の何回分の価値があるのか分からないぐらいの価値があると思っているので。Fリーグカップはシードだったので1試合少なかったとはいえ、年間で最大の試合数を確保したのはおそらくうちだけだと思います。なので、自分がシーズン当初目標にしていた部分は、クラブにとってすごく価値のあることだと思っていて、その点に関しては良かったかな、と思っています。

ーートップカテゴリーの指導はおもしろいですか?

おもしろいですよ、本当に。ある意味変わらないと思っている部分もあります。序盤は、年齢の部分でどれほどの差があるかな、と思っていたんですが、良くも悪くも実際ほとんど変わらないというのはあって。高校生だろうが、トップだろうが、僕にとっては一人の選手と監督なのでそんなに差はありません。ただ、ピッチの上で彼らが持っている決断と技術と経験値は女子や育成とは桁が違うので、選手に余白を持たせる部分と、こちらが決断する部分のミスマッチは、最初はあったかもしれないです。多分、その辺がマッチしてきたことも、後半にポジティブに出たのかな、とは思っています。ちょうど結果出始めた辺りから自分の中で調整をかけていたので、うまくハマったというのはあります。

ーー来シーズンも楽しみですね。

ぜひ、楽しみにしていてください。